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20世紀における産業都市の典型は、いわば「林檎型」を目指すものであったと言える。ある分野に限って育成し、大きな実を結ぶことを善としがちであった。
対して「葡萄型」とでもよぶべき産業都市もある。多彩な実りを房として結びつける、つまり小規模かつ多品種の産業を持ち、それらを相互に連ねていくような都市である。
都市文化の形成においても同様に「林檎型」「葡萄型」があるのではないか。これからの文化の振興、イベントの展開にあっては、双方の視点が必要であろう。「林檎」のような大規模な事業だけではなく、「葡萄」のように、小さな実を連ねてひとつとなる発想もあってよい。 |
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＜文化立都＞の実践を通じて、大阪は都市に集う人々のエネルギーを活かし、住民が自発・内発的に将来に向けて文化活動を継続していく運動、いわば＜ムーブメント＞を展開する。
ここで言うムーブメントは、開発を誘導する従来のような「林檎型」の大規模イベントではなく、また、季節ごとに各地でおこなわれる限定的な祝祭でもない。それは、日常的に都市にある人々の感性やエネルギーを表現する創造活動を連鎖的につなぐことにより、都市全体を祝祭空間としていく「葡萄型」のイベント展開にほかならない。 |
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たとえば都市における文化的景観の熟成に関わるムーブメントなどが重要であろう。これまでの大阪21世紀計画では、大阪の都市景観の保全と創造、さらには誰もが環境に高い関心をもつエコロジカル・ライフスタイルを大阪に定着させていきたいと提言してきた。
21世紀全体を見通すならば、この考え方と実践を大阪に限らず、近畿圏全体にひろげて考えていきたい。地方分権と地域自決の原則のもとに、「美しき関西」を実現するムーブメントをおこしていくべきだろう。 |
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| 背を向けてきた川筋に、人々の意識をもどすムーブメントにも力を入れるべきだ。公・民が協力しつつ、護岸堤防などの親水性を高めるとともに、水辺からの景観に配慮したまちなみを創るべきである。
また市民の日常の足となり、楽しみの機会を提供するような、多様な舟運の可能性を模索するべきである。かつて大阪の川筋には、各種の遊山船が浮かび、橋のたもとには飲食を楽しめる牡蠣船が停泊していた。現代のライフスタイルに適した遊興の船を水路に設けることが望まれる。
くわえて、河原や川面を祝祭の場に転じるイベントの実践も考えられてよい。市民が主役となる川筋のイベント、伝統的な祝祭のさらなる発展も考えていくべきだろう。 |
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| また＜ひろばの復興＞をはかるムーブメントも重要である。「広場」とは、人々が集う空間である。欧州の都市は広場と教会を中心とした構造であり、広場が祝祭や集会などの人々が集う場となっている。一方、わが国の都市は、古来、そうした広場を中心とした構造ではなかった。しかし、辻や川辺、そして寺社など、人々の集まる場が点在しており、その意味で都市全体が集いの場であり、広場的な要素を有していると言える。そうした広場的要素の集合体としての都市のありようを、ここでは＜ひろば＞と定義する。
＜ひろば＞は、単に空間を用意するものではなく、そこに蓄積された魅力、人々が集まるための仕掛け、そして、それを受け入れるホスピタリティを含む、都市の仕組み全体を示す概念として捉えられる。＜文化立都・大阪＞の実現に向けて、世界中から人々が大阪に集い、そこに住む人々とともに新しい文化を創造していく仕組みづくりを進め、誰もが主役となれる都市の＜ひろば＞づくりをはかっていかなければならない。 |
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