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関西・大阪21世紀協会は「文化力向上」「関西・大阪のイメージ向上」「水都大阪まち育て」の三本を軸に「関西・大阪の文化力向上」を目指します

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ヨーロッパの個性+日本の鍋文化=洋風鍋

 

世界の鍋:ヨーロッパ編 「洋風鍋はヨーロッパの煮込み料理にヒントが―」

カレー味VSトマト味。
万人受けする最終兵器?!の登場

食ブームの定説で、カレーを用いた料理が発売しだすと、そのジャンルもそろそろ終焉を迎えると言われている。つまり、カレー味ほど万人に受け入れられるものはなく、そのため、食の業界において、あらゆるジャンルの最終兵器と言われている。だからその類の味のものが発売すると、出つくした感が否めないというのだ。そういう意味では、カレーラーメンが流行したラーメンも、カレー鍋が売れている鍋ジャンルもそれに当たるのかもしれない。

カレーと同じような意味合いで用いられるのがトマト風味である。トマトもカレーと同様、万人に受ける味。しかも、トマトは旨み成分であるグルタミン酸を多く含んでいるので、味がまとまりやすい。2010年~11年にかけての冬場に、トマトすき焼きに脚光が当たっている。甘辛い醤油味のすき焼きにグルタミン酸を多く含んだトマトが入っているわけだから、誰もが好むのも当然のこと。数年前から発売されているトマト鍋の素(スープ)と相まって売れている現状を見れば、鍋アイテムもついに最終兵器を登場させてしまったのかとさえ思ってしまう。
日本でのトマト鍋の流行は、やはりイタリア料理の普及が影響している。バブル期のイタメシブームからイタリア料理店が街に乱立し、その味に慣れ親しんだ消費者が、ついに鍋の分野でもトマト味を受け入れたということだ。

和洋折衷のトマト鍋がヒットした理由
大手食品メーカーの試行錯誤

トマト鍋

トマト鍋を調べてみると、“トマトを用いてスープを調理した鍋料理の1アイテム”であると書かれていた。イタリアにもミネストローネやブイヤベースなどトマト風味のスープで煮たものがあるが、日本でいうトマト鍋とはそれを指すわけではない。今流行しているのは、あくまで和の鍋を洋風化したものである。
このトマト鍋を流行させたきっかけは、勿論、巷の料理人である。各店が冬場の定番鍋(ちゃんこ、魚ちり、寄せ鍋など)だけでは面白くないと、アレンジした鍋料理を出し始めたことによる。トマトを入れることで、味がまとまり、万人受けするだろうと考え、この手の和洋折衷鍋が世に出た。だが、これだけでは、ブームとまではいかなかった。ブームになった最大の要因は、大手食品メーカーが、この手のスープを売り出したことであろう。
さりとて、すぐにはブームに至らなかったようだ。当初は酸味が強いトマトや魚エキスなどを使って、大人向けの味として発売したために消費者から受け入れられず、2年で終売を迎えている。今回のブレイクのきっかけになった鍋用スープは、子供向けに甘みの強い南欧産の熟したトマトをベースにして作ったもの。キャベツやソーセージなど、冷蔵庫にあるものを入れて作るようにレシピが書かれていることもあって一般家庭で普及していった。

日本で鍋スープとして売られているトマト鍋の素(スープ)は、我が国ならではの料理と記したが、イタリアにもその手の鍋がないわけではない。代表的なものとして挙げられるのが「ズッパ・ディ・ペッシェ」。これは魚介の煮込み料理で、イタリアン鍋の原型ともいえる。我々日本人が昆布やカツオ節でダシを摂るように、地中海沿岸では昔からトマトで旨みダシを摂る食文化が根づいていた。トマトのグルタミン酸は、肉や魚のイノシン酸と合わせることで、旨みはさらにアップする。なので、同地域では、トマトのスープに肉や魚を入れて調理していたのである。この風味がうまく和の鍋にマッチした。だからトマトちゃんこ鍋やトマトすき焼きといったアレンジ鍋が生れたのだ。

西洋を代表する鍋「フォンデュ」
なぜか日本ではチーズフォンデュが定番に

チーズフォンデュ

イタリア料理の鍋とともに、西洋を代表するのがフォンデュであろう。フォンデュとは、スイスを中心にアルプス山岳部やその周辺の家庭でよく食される鍋料理を指す。チーズフォンデュを始め、オイルフォンデュやトマトフォンデュ、スープフォンデュなどいろんな種類のものがあるが、なぜか日本ではフォンデュといえば、チーズフォンデュを思い浮かべる人が多い。ヨーロッパでは、日本と違い、ひとつの鍋を多人数でつつきながら食すことが少ない。そんな風潮の中でも代表的といえる鍋料理がこのフォンデュである。

チーズフォンデュは、チーズをおろし金ですりおろし、熱した白ワインとともに鍋に入れて溶かす。材料となるチーズは、エメンタルチーズとグリュイエールチーズの2種が一般的に使われている。加える酒は白ワインの他に、キルシュを用いることもある。煮立った鍋に一口大に切ったフランスパンをフォークや串に刺して入れ、溶けたチーズを絡めるようにして食べていく。日本では野菜やソーセージを串に刺して、同じようにして食べるのだが、本場・スイスでは、野菜などの具を加えないのがどうも一般的らしい。この鍋は、元来、硬くなったパンを柔らかくし、美味しく食すことに重きが置かれ、発案された。だからシンプルな「フォンデュ・ヌシャテロワーズ」は具材にパンのみが使われる。

チーズフォンデュと並んで有名なのがオイルフォンデュ。これは鍋に油を入れて熱し、串に刺した肉を揚げて食す。日本では肉に野菜やキノコ類を加えている所が多いが、本場では、これまた肉のみのケースが多いようだ。揚げた肉を数種のソースにつけて食べていく様は、日本の天ぷらのようである。オイルフォンデュもスイスの料理だが、なぜだかフォンデュ・ブルゴーニュと呼ばれている。そんな名前が付けられているものの、ブルゴーニュ地方の郷土料理では決してない。

ヨーロッパの山岳地帯には鍋料理が多い
人気沸騰!バーニャカウダ

バーニャカウダ

ヨーロッパの山岳地帯は、さすがに寒冷地のためか、鍋料理が多い。スイスにも近いイタリア・ピエモンテ州の伝統料理が、最近、日本でちょっとした流行になったバーニャカウダである。
オリーブオイル、アンチョビ、ニンニク、バターで作ったソースを鍋で煮て、それをソースに見立て、野菜を漬けて食す料理だ。日本では鍋料理としてあまり紹介されていないが、現地では、大勢で漬けながら食べることもあるようだ。そもそも“バーニャ”とは、“浸す”を意味し、“カウダ”とは“温かい”を指す。ピエテンテ州では、秋になると、収穫を祝うイベントとしてバーニャカウダ祭が開かれるというから、いかに同地で鍋料理として受け入れられているかがわかる。 前述したが、ヨーロッパでは寒い場所が多いため、温かく煮込んだ料理は数多く見られる。しかし、日本のようにひとつの鍋をつつきながらというと数少ない。そもそも、ひとつのものを皆で取り分けるという風習がないのであろう。

日本の洋風鍋とは!
ヨーロッパの煮込み料理をアレンジした和洋折衷料理

ヨーロッパの場合、むしろ鍋料理というより、煮込み料理としてとらえた方がいいだろう。ただ、何でも柔軟に受け入れる日本人は、ヨーロッパのこれらの煮込み料理を、和の鍋とうまく折衷させた。それがトマト鍋に代表される洋風鍋のブームになっている。
アジアからの伝播とは違い、洋風鍋はヨーロッパの煮込み料理の特徴をうまく鍋料理に盛り込んで完成させた、いわば和洋折衷の一品といえるかもしれない。

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