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ダシ:昆布、カツオ
味付け:醤油など
つけだれ:なし
シメ:うどん、ラーメン
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3~5月にかけて旬を迎えるアサリが主役の鍋。昆布とカツオでとったダシに、醤油などで味を整え、まずはアサリをさっと煮る。アサリの口が開いたら、すぐに取り出して食べる。旬のアサリは、身がぷっくりとして、香りもよく、旨みもしっかりと出るので、味付けは薄味にしておくとよい。また、煮すぎると、せっかくのふっくらとした身がやせて、旨みがダシに逃げてしまうので、口が開いたところを次々と食べるのがいいだろう。
和歌山県加太は天然ワカメの産地でもあるため、ワカメも具材に加えることも多い。また、高野山の精進料理から広まったともいわれる高野豆腐(あらかじめ水で戻しておいたもの)を、鍋に加えることもある。野菜はハクサイ、シュンギク、シイタケなど。
アサリも煮すぎるとおいしくなくなるが、ワカメやシュンギクも、香りや食感よく食べるには、さっと火を通すだけでよい。シメにはアサリの旨みがしみ出したダシでうどんを楽しむ。旨みたっぷりのダシなので、地元ではそのままごはんかけて食べる人もいるのだそう。
加太付近の旅館などでは3~5月頃に季節限定の鍋料理としてあさり鍋を提供しているところが、今もある。潮干狩りでたくさんアサリがとれたら、家庭でも簡単に楽しむことができる。
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加太は大阪府との県境付近、和歌山県の北西部に位置する町。加太湾には地ノ島、沖ノ島、虎島、神島の4島からなる友ヶ島が浮かび、万葉集では「潟見の浦」と詠まれた景勝地だ。温泉地としても知られているが、漁場としても知られ、漁港にはたくさんの漁船が停泊している。また、釣り客用の民宿やホテルも多い。
魚は秋の鯛、冬のクエが有名だが、春には潮干狩りでにぎわう。加太から少し南の片男波(かたおなみ)とともに、天然のアサリがとれる人気のスポットだ。しかし、近年はエイによる食害などで、天然アサリが消えてしまうという状況が続いている。
あさり鍋が誕生した時代や歴史については不明だが、かつてはたくさんとれたアサリをたくさん食べるために考えだされたのではないだろうか。前述の通り、加太付近では3~5月頃になると、あさり鍋がメニューに並ぶ民宿がある。また、地元の家庭でも、潮干狩りでとれたアサリを使って鍋を楽しむことがあるという。
アサリは旨味成分だけでなく、貧血によいビタミンB12や鉄分が豊富なので、女性には特にオススメの鍋だ。
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<主な具材>
★アサリ
ハクサイ、白ネギ、シイタケ、豆腐
シメ:雑炊、うどん
<ダシ>
カツオ、昆布
<味付け>
醤油などで薄味に
<つけだれ・薬味>
なし
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アサリ
春が旬のアサリ。口がしっかり閉じていて、模様が鮮やかなものがよいアサリの証拠
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・アサリはしっかり洗って、塩水につけ、砂抜きをする
・他の具材は食べやすい大きさに切る
・鍋にダシを沸かし、アサリを入れ、口が開いたものから食べる
・他の具材を煮る
・具材が有る程度煮えたら、再び、アサリを加え、口が開いたら食べる
・シメは雑炊やうどん
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・アサリは、煮すぎると味が落ちるので、口が開いたらすぐ食べる |