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だし:だし(昆布、カツオ)に醤油とみりんを加えた割り下
つけだれ:なし
シメ:雑炊、うどん
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長崎の卓袱(しっぽく)料理が大阪風に変化してできた寄せ鍋の一種と言われている。今日、寄せ鍋と聞いて思い浮かべる薄味のだしではなく、魚すき(魚のすき焼き)などと同様に醤油とみりんの割り下で煮る。タイ、キスなど魚の種類は問わないが、焼いてから加えるというのが特徴の一つ。なぜ一度焼くことが原則なのかは明らかではない。寄せ鍋でも最後まで煮汁をにごらせないように、材料を下煮してから用いるのと同様の理由かもしれない。
具材は、魚やハマグリなどの魚介、鶏肉、かまぼこ、ハクサイ、ホウレンソウ、シイタケ、糸コンニャク、豆腐など。季節や時期によっていろいろと変化する。
思い思いの具を美しく大皿に盛り込み、大勢で鍋をかこんで食べる卓袱鍋は鍋料理の原点ともいえる。しかし、現在では、飲食店でも家庭でも、寄せ鍋を楽しむ機会に比べ、卓袱鍋として楽しむことはかなり少ないのではなくなり、その名前も風化しつつある。
具材に決まりはなく、割り下を使う卓袱鍋は家庭でも簡単に楽しめる鍋の一つといえる。
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中国料理を日本風に変化させた卓袱料理は江戸時代に生まれた長崎に伝わる伝統料理の一つ。
卓袱とはテーブルクロスという意味があり、それが中国風のテーブルを指すようになって、さらにその卓上で供される料理が卓袱料理と呼ばれるようになった。
当時の日本はまだ一人一人に膳があり、一つの皿や鍋から料理を直接とって食べるという習慣がなく卓袱料理によって新しい習慣が徐々に受け入れられていった。一つの鍋を囲んで、各々が自分の箸を鍋に入れる新しい習慣が生まれたのも卓袱料理からと考えられ、鍋料理の原点といえる。
長崎から関西に伝わった卓袱料理の流れを取り入れた一種の寄せ鍋が卓袱鍋として大阪で誕生した。
江戸では一つの皿に盛られた料理を数人の箸で取る食事様式は嫌われ、なかなか定着しなかったが、京都や大阪ではよくひろまった。
現在では魚すきの老舗があるものの飲食店で卓袱鍋をあげるところはほとんどない。家庭でも、寄せ鍋や水炊きほど楽しまれていないと思われる。
しかし、関西では、シイタケ、カマボコ、鶏肉など数種の具をのせたそやうどんを「しっぽく」とよび多くのうどん・そば店でメニューの一つにあがっている。
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<主な具材>
★魚介(タイ、キス、エビ、ハマグリなど)
ハクサイ、白ネギ、鶏肉、豆腐、シイタケ、カマボコ
シメ:雑炊、うどん
<だし>
昆布・かつおだし、醤油、みりん
<つけだれ>
なし
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具材に決まりはないが、魚は一度焼いてから鍋に加えるのが原則。季節感のある具材を使えばより趣のある鍋に。
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・具材はすべて適当な大きさに切る、魚は一度焼いておく
・昆布、かつおだしに醤油とみりんを合わせた割り下を用意する
・割り下が煮立ったら具材を入れて煮る
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・切った具材は大皿に美しく盛ってまずは目で楽しむ
・使う具材に決まりはない。魚は予め焼き、野菜も茹でるなどの下ごしらえを丁寧にすると最後までだしがにごらず味もよいまま食べられる |