だし:鶏・鴨ガラスープ、昆布だし、かつおだし、薄口・濃口醤油、酒、みりん
つけだれ:なし、生卵
シメ:雑炊、中華麺など
鴨肉が主役の鴨鍋。
かつては、野生の真鴨を使って食べられていたが、現在は真鴨とアヒルを交配させた合鴨を用いて作られることがほとんど。
だしは鶏ガラや鴨のガラ、昆布、かつおなどでとったものをベースに、薄口醤油とみりん、少量の砂糖を加えるものや、濃口醤油を使った割り下ですき焼きにするものなどがある。
すき焼きの味付けにする場合は、生卵をつけて、食べ方もすき焼き風に食べることもある。鍋は土鍋や鉄鍋。主に、滋賀県の湖東・湖北は鉄鍋、湖西・湖北では土鍋を用いるともいわれている。
鴨は、抱き身とよばれる皮付きの胸肉をできるだけ薄切りにする。火を通しすぎると固くなるので、さっと色がかわったくらいが食べ頃だ。専門店では、首やあばら骨、軟骨を叩いた「切身たたき」(つくね)が入ることもある。
鴨鍋に欠かせない野菜といえば、やはりネギ。白ネギを斜め薄切りにしたり、ぶつ切りで一度焼いてから用いるところもある。「鴨がネギをしょって・・・」という言葉に何度も頷きたくなる相性の良さだ。
主に京都府では京菜と呼ばれる水菜を使って「鴨のハリハリ鍋」にすることもある。また春の七草の一つであるセリも相性がよいとされる。その他、豆腐やささがきゴボウなどが挙げられるが、具の種類を抑えたほうがより鴨肉独特の旨みや、脂の甘みを堪能できる。
シメには雑炊や中華麺など。餅を入れたり、煮詰まっただしを温かい白飯にかけて食べるのもよい。
かつては、秋から冬にかけて狩猟の季節に楽しまれたという鴨鍋。鹿や猪のように真鴨の肉から散弾銃の弾が出てくることも珍しくなかったという。
現在では、食べられている鴨鍋は真鴨とアヒルを交配させてた「合鴨」がほとんどである。
大阪では、鴨鍋がいつ頃から食べられるようになったのか定かではないが、豊臣秀吉が鴨(またはアヒルともいわれている)の飼育を奨励したという記録や、平安時代から飼育されていたという説などがある。
天神祭の折にも、ご馳走として食べられたとか。その後、明治時代末期に合鴨飼育の産業化が始まった。現在は大阪府松原市のツムラ本店が「河内鴨」というブランドで合鴨肉を取り扱っている。府内には「河内鴨」を使った鍋を提供する飲食店が数店舗あり、鴨の造りから鍋までフルコースで味わえる。
滋賀県の琵琶湖周辺も鴨鍋が有名な土地で、江戸時代から続く老舗料理店がある。琵琶湖に飛来する野生の真鴨がよく知られていたが、現在は狩猟が禁止されている。
京都の料理旅館では、冬の鍋料理として提供されていたり、飲食店でも楽しむことができる。
また、合鴨肉は手に入りやすいので家庭でも手軽に楽しめる鍋料理の一つとして挙げられる。
<主な具材>
★合鴨・真鴨胸肉
切り身たたき、白ネギ、青ネギ、セリ、ゴボウ、豆腐、キノコ類
シメ:雑炊、中華麺、餅など
<だし>
鶏・鴨ガラスープ、昆布だし、かつおだし、薄口・濃口醤油、酒、みりん、砂糖
<つけだれ>
ないことが多い、すき焼きの場合は生卵
真鴨は専門店でも出しているところは限られるが、合鴨は家庭用にも手に入りやすい。
薄く切って、さっと火を通すのがおいしく食べるコツ。
・鴨肉は薄切りに、白ネギは切ったあと、直火焼きかフライパンなどで焼き目をつけると香ばしさが加わる
・ゴボウはささがきに、その他の具材は食べやすい大きさにきる
・だしを鍋には沸騰したら鴨肉だけを加えてさっと火を通す
・次に野菜やその他の具材を加え、肉も追加しながら食べる
・シメはごはんや中華麺を加える
・火にかける前にだしと野菜を鍋に入れ、野菜の上に鴨肉をおいて煮る方法もある
・すき焼き風の場合は生卵を好みでつける
・あっさりだしの場合は粉山椒がよく合う
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