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南朝鍋

分類

ダシ:アマゴ
味付け:味噌など
つけだれ:なし
シメ:雑炊

特徴

奈良県吉野郡の入之波(しおのは)温泉にある山鳩湯の名物鍋。ダシは、具材の味を引き立てる、味噌仕立ての特製ダシだ。鴨鍋や猪鍋ほど濃厚ではなく、甘みも加えていないので、具だくさんの味噌汁に近い味わい。

メインの具材は、美しい川にしか生息できないというアマゴで、地元吉野産の新鮮なものを使う。内臓をとって食べやすいようにぶつ切りにするので、骨から出る旨みがダシとなる。

アマゴは川魚だが、クセがなく、塩焼きとはまた違った味わいを楽しむことができる。その他の具材はハクサイ、ネギ、シイタケといった鍋具材の定番野菜以外にも、タケノコなど旬の山菜が加わる。シメは雑炊がオススメ。

旬はなく、一年中食べられるが、現地に足を運ばなくては、秘伝のダシと新鮮なアマゴを味わうことがなかなかできないであろう。

歴史

1336年(延元元年)に京の花山院を追われた後醍醐天皇が行宮(あんぐう)の地に選んだのが、現在の奈良県吉野郡だった。そして、自らが主宰する朝廷を開いて、吉野朝廷(南朝)とし、京都朝廷(北朝)と対立する南北朝時代が始まった。現在は、1889年(明治22年)に創建された吉野神宮に祀られている。

一方、南朝鍋が誕生したのは昭和50年ころ。山鳩湯の創業からすぐのころに、旅館の名物料理の一つとして考え出された鍋だ。創業者が、吉野の地に南朝があったことに思いを馳せて創りだしたという。自然豊かな山中でとれる素材を活かした鍋は、秘湯といわれる温泉と共に、人気を呼んでいる。

入之波(しおのは)温泉は、平安時代には発見されていたといわれる湯で、江戸時代には湯治場として栄えた。1973年に大迫ダムが完成したことで、一度は水没したが、旅館として創業した山鳩湯が1984年にボーリング調査を行うと温泉が自噴、温泉地として復活した。桜の名所として名高い吉野では、桜だけでなく名湯と共に、名物鍋も楽しむことができるようになった。

素材

<主な具材>
★アマゴ
ハクサイ、白ネギ、シイタケ、タケノコ など
シメ:雑炊
<ダシ>
アマゴ
<味付け>
秘伝の味噌仕立て
<つけだれ・薬味>
なし

この素材に注目

アマゴ
新鮮なアマゴはクセがなく、骨からは旨味のあるダシが出る

・アマゴは内臓を取り除き、ぶつ切りにする
・野菜は食べやすい大きさに切る
・鍋に湯を沸かし、アマゴからダシをとり、野菜などの具材を煮る
・秘伝の味噌仕立てで味付けをする
・シメは雑炊

POINT

・秘伝のダシは、みりんなどの甘みを加えていない

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