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だし:昆布だし
つけだれ:醤油、だし醤油、ポン酢醤油、刻みネギ、おろしショウガ、七味唐辛子
シメ:なし
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土鍋に水をはり、昆布を入れて、食べやすい大きさに切った絹ごし豆腐を入れる。火にかけて、豆腐がぐらりと動いたらできあがり。すばやく網じゃくしですくい上げて、だし醤油や薬味と一緒にいただく。茹ですぎると豆腐に「す」が入り味が落ちてしまうので、鍋から豆腐を引き上げるタイミングと火加減が重要。そのため、鍋全体に熱が柔らかく伝わり、保温力にすぐれた土鍋が最適。
材料も作り方もとてもシンプルな鍋ゆえ、素材の品質が味わいにストレートに響く。
豆腐は木綿豆腐よりも、口当たりがなめらかな絹ごし豆腐がよいとされる。それも、少々値が張ってもよい素材を使い、丁寧に職人の手で作られた豆腐をおすすめする。また、豆腐の他に白ねぎやシイタケなどを一緒に煮ることもあるが、シンプルに豆腐本来の味を楽しむの通だ。
だしに使う昆布は、真昆布・利尻昆布・日高昆布など肉厚なものを用いるとよいだしがとれる。さっと拭いた昆布をあらかじめ水につけておいてだしをとる「水出し」という方法もある。
つけだれには、醤油とかつおだしを合わせたものや、そのままの醤油に好みの薬味を用意するなどさまざま。薬味には刻みネギ、おろしショウガ、柚子の皮を刻んだもの、七味唐辛子、鰹節など。
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豆腐は中国で生まれ、日本に伝えられた。
平安時代の遣唐使が伝えたという説や、室町時代の留学僧が製法を持ち帰ったとする説などその時期は定かでない。室町時代には武家の食卓に上がるようになり、僧侶の精進料理として広まった。
庶民の間で盛んに食べられるようになったのは江戸時代であり、『豆腐百珍』(1782年)という豆腐料理のレシピ本がベストセラーとなった。『豆腐百珍』には最高ランクの豆腐料理として「湯奴(ゆやっこ)」が紹介されている。食べ方には「浮かび上がればはやかげんよろしからずや」とあり、豆腐の温め加減が大切だと書かれている。
湯豆腐の始まりも定かではないが、江戸前期の万治年間(1658〜61年)頃に大阪・高津神社の石段下に「高津豆腐」と称する湯豆腐屋とする説がある。「高津豆腐」は現存していない。
一方、京都では17〜18世紀頃に豆腐料理が盛んとなり、田楽で知られる祇園豆腐・嵯峨豆腐が生まれた。江戸中期に新宮涼宮が南禅寺近くに開設した「順正書院」は、現在でも湯豆腐の名店としてよく知られている。また、嵯峨野の「森嘉」は幕末創業の老舗豆腐店として有名である。
湯豆腐は土鍋というのがほとんどだが、京都の専門店などでは湯豆腐専用の木桶を使うところもある。
現在では、一般家庭は勿論、居酒屋や定食屋のメニューとしても登場する冬の料理だが、専門店としては京都以外にはほとんどない。
<主な具材>
★絹ごし豆腐
<だし>
昆布
<つけだれ・薬味>
醤油・だし醤油・刻みネギ・おろしショウガ・柚子の皮を刻んだもの・七味唐辛子・鰹節など
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家庭で作る場合には天然ニガリを使ったものなど、良い豆腐を選ぼう
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・つけだれと薬味を用意する
・土鍋に水を張り、ぬれぶきんで軽く拭いた昆布を入れる
・一口大に切った豆腐を鍋に入れる
・豆腐がぐらりと動いたら食べ頃
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・よい素材を選ぶ(できれば水と昆布もよいものを)
・豆腐を煮すぎないこと
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