<パネル・ディスカッション>
~関西の本物『茶の文化』を活かした文化首都圏の形成~
◆和歌山大学 名誉教授 角 山 榮 氏
英国は、茶にミルクと砂糖を入れる茶文化を発明し、これが国の発展に寄与した。つまり、茶や砂糖は英国内で生産しないので、七つの海にまたがる交易によって入手した。また、家庭では茶の文化によって新たなるコミュニケーション、ふれあいの方法を開発した。こうした英国の茶文化は、堺で宣教師が日本の茶の文化に触れたことに端を発している。
◆奈良県立図書情報館 館長 千 田 稔 氏
茶の文化は関西を中心に広がっていっており、関西の文化と言ってよい。日本文化を考える時に、ユーラシア大陸や欧米のコピーではない文化は何かと考えると、茶の文化はオリジナリティーが高い。しかし今、海外のコピーがあふれ、家庭内でもコーヒーや紅茶に日本茶が追いやられている現状である。お茶が生き残るには不安材料が多い。
◆サントリー文化財団 上席研究フェロー 佐 藤 友美子 氏
日常的に皆が集まって楽しめる、肩の凝らないお茶のやり方が必要である。お茶の文化を根付かせるには継続性が必要であり、そのためには魅力的な付加価値を見つけ出すべきである。
◆実行委員会 アドバイザー/関西学院大学 教授 寺 本 益 英 氏
お茶は身体に良い効果がある点をもっとPRすべき。
はなやか関西の成果は、行政と茶業界が一体となり、地域振興の観点から広域的に消費者をお茶に引き寄せる戦略を打ち出したこと。
関西が文化首都圏としてブランドを確立していくために、プロジェクトの一層の広がりを目指していかなければならない。
- 生産者、茶商、消費者が出会う場を多く作り、双方向の意見交換を行う。
- イベントや講演会を通じたお茶の楽しみ方の提案や、業界団体による茶摘み体験や製茶体験などの企画を実施する。
- お茶ツーリズムを促進するため、茶室や寺院、庭園、美術館などお茶にゆかりの深い場所のガイドブックを作成する。
- 茶の6次産業化を促進する。生産、加工、流通を一体化し、新たなビジネス展開や産業の創出を図る。
<まとめ>
◆大阪府立大学 特別教授 橋 爪 紳 也 氏(コーディネーター)
(文責:事務局)
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【コーディネーター】
大阪府立大学 橋爪特別教授
【パネリスト】
和歌山大学 角山名誉教授
奈良県立図書情報館 千田館長
サントリー文化財団 佐藤上席研究フェロー
関西学院大学 寺本教授
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